コラム

胃カメラと内視鏡の違いとは?

2024.07.30

消化器系の検査方法として広く知られている胃カメラと内視鏡。これらの検査方法は、多くの人にとって馴染み深いものですが、実際にはどのような違いがあるのでしょうか?
この記事では、胃カメラと内視鏡の違いを解説します。さらに、従来のバリウム検査との比較も行い、それぞれの特徴を明らかにしていきます。

 

胃カメラと内視鏡の違いは?

「内視鏡」と「胃カメラ」。この二つの言葉、似ているようで実は違います。多くの人がその違いを知らないか、気にしたことがないかもしれません。
でも実は、歴史をたどると両者には明確な違いがあります。胃の検査で使われるこの二つの道具、一体何が違うのでしょうか?
ここでは、「内視鏡」と「胃カメラ」の違いについて、わかりやすくお話しします。

 

胃カメラとは

胃カメラは、1950年代にオリンパス社によって実用化されました。この画期的な医療機器は、それまで見ることのできなかった胃の内部を直接観察することを可能にしました。胃カメラは、細長い管の先端に豆電球と写真を撮影するカメラを搭載しており、管が胃に到達したと思われる時点で内部の写真を撮影する仕組みでした。

胃の内部を可視化できるようになったことは医療診断の大きな前進でしたが、同時にいくつかの課題も抱えていました。まず、使用される管が太かったため、患者さんにとっては非常に苦痛を伴うという点です。また、撮影した写真の現像に時間がかかるため、胃の中をリアルタイムで診察することができませんでした。そのため、即座に病変を発見することが難しく、見逃してしまう可能性もありました。

内視鏡とは

1970年代、医療技術に新たな革命をもたらしたのが内視鏡です。内視鏡はそれまでの胃カメラが抱えていた問題点を解決し、消化器系の診断と治療を大きく前進させました。

内視鏡も胃カメラと同様に管を胃に挿入しますが、その仕組みは全く異なります。光ファイバーと超小型カメラを巧みに組み合わせることで、医師は胃の中をリアルタイムで観察できるようになりました。これにより、即座に異常を発見し、適切な判断を下すことが可能になったのです。

さらに、内視鏡は単に胃の中を観察するだけでなく、発見した病変をその場で切除したり、組織の一部を採取して詳しく調べる「生検」を行うことができます。この機能により、診断と治療を同時に行うことが可能となり、患者さんの負担軽減と医療の効率化に大きく貢献しています。

 

患者さん目線での胃カメラと内視鏡

現代の医療現場では、胃の精密検査にほぼ内視鏡が使用されていますが、「内視鏡」と「胃カメラ」という呼び名が今でも混在しています。この理由には、歴史的な経緯と患者さんへの配慮があります。

内視鏡は比較的新しい技術であるため、従来の胃カメラに慣れ親しんだ方々は、そのまま「胃カメラ」という表現を使い続けています。また、多くの患者さんにとって、検査方法の変化は目に見えにくく、胃カメラから内視鏡への移行に気づいていない場合も少なくありません。

医療関係者にとっては当たり前のことでも、内視鏡と胃カメラの構造的な違いや導入時期の違いは、一般の方々にはなじみが薄いものです。限られた診察時間の中で、これらの違いを詳しく説明することは難しいため、医師は患者さんに伝わりやすいよう、内視鏡を「胃カメラ」と表現することがあります。

厳密には内視鏡と胃カメラは異なる機器ですが、広い意味では同じものと考えて問題ありません。そのため、患者さんが内視鏡と胃カメラの正確な違いを意識する必要はほとんどなく、医師に対して「胃カメラ」と言っても、内視鏡のことだと理解してもらえます。要するに、どちらの言葉を使っても、現代の胃の精密検査を指す言葉として通じるのです。

 

バリウムとの違い

バリウム検査と胃カメラ・内視鏡検査には、いくつかの重要な違いがあります。

バリウム検査は造影剤とX線を使用する間接的な方法で、胃の形や粘膜の状態を観察します。一方、胃カメラや内視鏡は直接消化管内部を観察します。精度の面では、胃カメラや内視鏡の方が優れています。これらは小さな病変も発見しやすく、その場で組織採取も可能です。

患者の体験も異なります。バリウム検査は飲み込みや体位変更の負担があり、検査後の副作用もあります。胃カメラや内視鏡は検査中の不快感はありますが、検査後の負担は軽めです。

また、バリウム検査はX線を使用するため微量の放射線被ばくがありますが、胃カメラや内視鏡にはその心配がありません。

結果の即時性も違います。バリウム検査は結果が出るまで時間がかかりますが、胃カメラや内視鏡は検査直後に概要を聞くことができます。

これらの違いを理解することで、自分に適した検査方法を選択する参考になるでしょう。

バリウム検査については、以下の記事も参考にしてください。

参考:胃カメラ検査とバリウム検査、どっちがいい?違いを徹底解説

 

まとめ

「胃カメラ」と「内視鏡」は本来まったく違う医療機器ですが、どちらも同義と捉えて問題ありません。今回お伝えした違いは、あくまで正確な定義として認識しておきましょう。Webサイトなどでも、わかりやすく「胃カメラ」と書かれていることがあります。現代の医療現場において実際に使用されているのはほとんど内視鏡ですので、性能についてもご安心ください。

072-
727-
2121