⼤腸メラノーシス(偽メラノーシス)

⼤腸メラノーシス(偽メラノーシス)

大腸メラノーシスとは?

大腸メラノーシスとは?

大腸メラノーシス(偽メラノーシス)は、大腸の粘膜に色素が沈着して褐色、あるいは黒色に変色した状態です。大腸カメラ(内視鏡)検査で発見されることが多い所見で、多くの場合は特定の下剤の長期使用が原因で起こります。大腸メラノーシス自体は病気ではありませんが、まれに大腸がんなどの病気が隠れていることもあります。
大腸カメラ検査で「お腸が黒くなっている」と言われて不安に感じている方や、長期間下剤を使用されている方は、箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックへご相談ください。

大腸メラノーシスのメカニズム

大腸メラノーシスは「メラノーシス」という名前がついていますが、実際にはメラニン色素ではなく「リポフスチン」という褐色の色素が大腸粘膜のマクロファージ(食細胞)に蓄積することで起こります。そのため「偽メラノーシス」とも呼ばれます。
大腸メラノーシスによる色素沈着は、主に結腸(特に右側結腸)に多く見られ、バリウム検査やCTなどでは発見できず、大腸カメラ検査でのみ確認できる所見です。大腸粘膜が褐色~黒色に変色している様子が特徴的です。

大腸メラノーシスの原因となる下剤リスト

大腸メラノーシスの主な原因は、特定のタイプの下剤、特にアントラキノン系下剤の長期使用です。以下に代表的な下剤とその成分を示します。週に1度程度であればメラノーシスのリスクは低いですが、毎日服用している場合はリスクが上昇します。

アントラキノン系下剤

  • センナ:プルゼニド®、アローゼン®、センノシド®など
  • アロエ:アロエ末、アロエ茶、ダイエット茶に含まれることが多い
  • 大黄(だいおう):防風通聖散®などの漢方薬に含まれる
  • キャンドルブッシュ:「おなかスッキリ」「快便」などと表示のあるお茶、サプリなど

大腸メラノーシスの症状とリスク

初期段階

大腸メラノーシスになってもほとんどの場合で無症状です。大腸カメラ検査で偶然発見されることが多いですが、色素沈着自体は直接的な健康被害を引き起こしません。

進行した場合

大腸メラノーシス自体に症状はなくても、メラノーシスの原因となる長期の下剤服用は、腸管の自然な運動機能を低下させます。その結果として以下のような問題が起こることもあります。

  • 下剤の効果が徐々に弱くなる(耐性)
  • 慢性便秘の悪化
  • 下剤依存の状態になりやすい など

がんリスクとの関連

大腸メラノーシス自体は前がん病変ではなく、直接的に大腸がんのリスクを高めるわけではありません。しかし、長期間の便秘や慢性的な腸の炎症は、大腸の健康状態に影響を与える可能性があります。

大腸メラノーシスの検査と診断

大腸カメラ検査による確認

大腸内視鏡検査で大腸粘膜の色素沈着を確認します。粘膜が褐色~黒色の斑点状または広範囲に変色している所見が見られます。生検(組織採取)を行うことで、顕微鏡検査によりリポフスチンの沈着を確認できます。

原因薬剤の特定

医師による詳しい問診で、以下を確認します。

  • 現在使用している下剤の種類と使用期間
  • 過去に使用していた下剤
  • 市販薬やサプリメント、健康茶の使用歴
  • 漢方薬の使用歴
  • 便通の状態や便秘の程度 など

大腸メラノーシスの治療

下剤の切り替え

メラノーシスが確認され、アントラキノン系下剤の使用が原因と考えられる場合、下剤の中断・変更を行います。ただし、急に下剤を中止すると便秘が悪化する可能性があるため、医師の指導のもとで徐々に切り替えていくことが重要です。

経過観察

下剤の切り替え後、半年から1年後を目安に再度検査を行い、改善状況を確認します。アントラキノン系下剤の使用を中止すると、通常1年程度で色素沈着は徐々に改善します。ただし、完全に元の状態に戻るまでには個人差があり、長期間使用していた場合は回復に時間がかかることもあります

日常生活での注意点

避けた方が良いこと

刺激性下剤の長期使用

特にアントラキノン系の下剤(センナ、アロエなど)の継続的な使用は避けましょう。便秘などで下剤が必要な場合は、医師と相談のうえで薬剤を決定しましょう。

自己判断でのダイエット茶や漢方茶の常用

大腸メラノーシスの原因成分が含まれるダイエット茶の過飲に注意しましょう。

下剤への依存

便秘時に常に下剤に頼る習慣は腸の正常な機能を低下させる可能性があります。下剤に頼らない排便習慣を確立させるためにも、医師の診察を受けましょう。

推奨される対策

十分な食物繊維の摂取

1日20g以上の食物繊維(野菜、果物、全粒穀物など)を摂るよう心がけましょう。

適度な水分補給と運動

排便を促すため、1日1.5ℓを目安に水分補給を行いましょう。また、軽い運動を習慣にすることで腸の動きが活発になります

規則正しい排便習慣

毎日同じ時間帯にトイレに行く習慣をつけましょう。ただし、無理にいきむと痔のリスクがありますので、無理に排便する必要はありません。

腸内環境を整える食品

ヨーグルトなどの発酵食品は腸内フローラのバランスを改善する可能性があります。ただし、かえって症状を悪化させるケース(過敏性腸症候群など)もありますので、適切な食品については事前に医師に相談してください。

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