食欲不振とは?

食欲不振とは、空腹感がなく「食べたい」という気持ちが起こらない、または食事量が著しく減少する状態を指します。健康な状態では、体がエネルギーを必要とする時、脳から「食べたい」という信号が送られますが、様々な原因でこの信号システムが正常に機能しなくなることがあります。多くは一時的な体調不良やストレスなどで見られますが、長期間続く場合や体重減少を伴う場合は、何らかの病気が背景にあることも考えられます。
箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでは、食欲不振の原因を詳細に調査し、適切な治療を提供しています。内視鏡専門医による胃カメラ検査を通じて、消化器疾患による食欲不振を正確に診断いたします。「食欲がわかない」「以前より食べられなくなった」などの症状でお悩みの方は、お気軽に当院へご相談ください。
食欲不振の原因
消化器疾患
胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸の粘膜に炎症や潰瘍があると、食欲が低下することがあります。ピロリ菌感染や薬剤(NSAIDsなど)の影響で起こることが多く、胃痛や胃もたれなどの症状を伴うこともあります。
胃がん・食道がん・大腸がんなどの消化器がん
消化器がんが進行すると、食欲不振や体重減少を引き起こすことがあります。早期には自覚症状がないことも多いため、健診や検診での早期発見が重要です。
肝炎・膵炎
肝臓や膵臓の炎症は、消化機能に影響を及ぼし、食欲を低下させることがあります。アルコールの過剰摂取や胆石などが原因となることが多いです。
全身疾患
感染症
風邪、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などの感染症では、発熱や全身倦怠感とともに食欲不振が現れることがあります。通常は感染症が治まると食欲も回復します。
甲状腺疾患
甲状腺機能亢進症では代謝が亢進して体重減少を伴いながらも食欲が増加することがありますが、甲状腺機能低下症では反対に食欲不振が見られることがあります。
腎臓病・心不全
腎臓の機能が低下すると、体内に老廃物が溜まり、食欲が低下することがあります。また、心不全では全身の倦怠感や呼吸困難とともに食欲不振が見られることがあります。
その他の要因
薬剤の副作用
抗生物質、鎮痛薬、向精神薬など、様々な薬剤が副作用として食欲不振を引き起こすことがあります。
年齢によるもの
年齢を重ねると、味覚や嗅覚が低下し、食事の楽しみが減ることがあります。また、活動量の減少やホルモンバランスの変化も食欲に影響します。
ストレス
過度のストレスは自律神経のバランスを崩し、胃腸の働きを低下させたり、食欲を減退させたりすることがあります。
食欲不振の症状
典型的な症状
- 食事を摂る気が起きない
- 空腹感がない
- 食事量が減る
- 食べ始めてもすぐに満腹感を感じる(早期膨満感)
- 食べ物の味が分からない、または違って感じる
- 体重減少 など
随伴症状
食欲不振に伴って現れる症状には以下のようなものがあります。
- 吐き気、嘔吐
- 胃痛や腹部の不快感
- 胸焼けや胃もたれ
- 全身倦怠感
- 発熱
- 頭痛
- 便通異常(下痢や便秘) など
重大な病気の可能性がある症状
以下の症状が食欲不振とともに現れる場合は、重篤な疾患の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。
- 急速な体重減少(1か月で5%以上の減少)
- 強い腹痛
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 血便
- 高熱が続く
- 強い倦怠感で日常生活が困難 など
食欲不振の検査
問診・身体診察
症状の経過や体重変化、服用している薬剤、生活環境、ストレスの有無などを詳しくうかがいます。身体診察では、栄養状態や脱水の程度、腹部の状態などを評価します。
胃内視鏡検査(胃カメラ検査)
食欲不振の原因として消化器疾患が疑われる場合、胃カメラ検査が重要な役割を果たします。この検査では、食道、胃、十二指腸の内部を直接観察し、炎症、潰瘍、腫瘍などの病変を詳細に検査できます。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)
下部消化管の異常が疑われる場合には、肛門から内視鏡を挿入し、大腸全体を観察する検査を行います。大腸がんやクローン病、潰瘍性大腸炎などの診断に有効です。
血液検査・尿検査
貧血、炎症反応、肝機能、腎機能、甲状腺機能、栄養状態などを評価し、感染症や全身疾患の有無を調べます。
画像検査
腹部超音波検査(エコー)、CT検査、MRI検査などを行い、肝臓、膵臓、胆嚢などの臓器の状態や腫瘍の有無を詳しく調べます。
※当院で行っていない検査は、提携先医療機関と連携して実施します
食欲不振の治療
原因疾患に対する治療
食欲不振の治療は、原因となっている疾患を特定し、それに対する適切な治療を行うことが基本です。
消化器疾患の治療
胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の場合は、胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬を使用します。ピロリ菌感染が確認された場合は除菌治療も行います。消化器がんの場合は、進行度に応じた適切な治療を行います。
全身疾患の治療
甲状腺疾患や腎臓病、心不全などが原因の場合は、それぞれの疾患に対する治療を行います。感染症の場合は、抗菌薬や抗ウイルス薬の投与、対症療法を行います。
対症療法
制吐薬・食欲増進薬
吐き気が強い場合は制吐薬を使用し、食欲を促進するための薬剤を用いることもあります。
栄養療法
体重減少が著しい場合や、脱水がある場合は、点滴による水分・栄養補給を行います。重度の低栄養状態では、一時的に経管栄養や中心静脈栄養を行うこともあります。
生活習慣の改善
食欲不振の改善には生活習慣の見直しも重要です。規則正しい生活リズムを心がけ、特に食事の時間を一定にすることで体内時計を整えましょう。適度な運動は食欲増進に効果的で、ウォーキングなどの軽い運動から始めると良いでしょう。
受診のタイミング
早期受診を推奨
- 食欲不振が2週間以上続く
- 原因不明の体重減少がある
- 倦怠感や脱力感が強い
- 高齢者の食欲低下
- 慢性疾患(糖尿病、腎臓病など)がある方の食欲低下 など
速やかな受診が必要
- 急激な体重減少
- 強い腹痛や嘔吐
- 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
- 血便や黒色便
- 高熱を伴う食欲不振
- 意識障害や強い脱水症状 など