背中の痛みとは?

背中の痛みは、上背部から腰部までの広範囲に現れる不快感や痛みの総称です。単なる筋肉の疲労やストレスだけでなく、胃や膵臓、胆嚢などの内臓疾患が原因で背中に痛みを感じることも少なくありません。痛みの部位や性質、持続時間、随伴症状によって原因疾患が異なるため、その見極めが重要です。
箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでは、背中の痛みに対して適切な検査と診断を行い、原因に応じた治療を提供しています。特に内臓疾患が原因の背部痛に対しては、内視鏡専門医による胃カメラ検査などを通じて、正確な診断を行っております。
背中の痛みの原因
内臓疾患による背部痛
消化器疾患
胃・十二指腸潰瘍、胃炎
胃や十二指腸の粘膜に炎症や傷ができると、その痛みが背中に放散することがあります。特に空腹時や食後に痛みが強くなり、みぞおちの痛みと背中の痛みが同時に現れることが特徴です。
胆石症・胆嚢炎
胆嚢に石ができたり、炎症が起こったりすると、右上腹部から背中右側にかけての痛みを生じます。特に脂っこい食事の後に悪化することが多いです。
膵炎・膵臓がん
膵臓の炎症やがんの場合、上腹部から背中にかけての持続的な痛みが特徴的です。食後に悪化し、前かがみの姿勢で和らぐことがあります。進行すると黄疸を伴うこともあります。
泌尿器疾患
腎結石・腎盂腎炎
腎臓に石ができたり、感染が起こったりすると、背中の横(腰背部)に激しい痛みを生じます。腎結石の場合、痛みは波状に現れることが多く、尿に血が混じることもあります。
循環器疾患
大動脈解離・大動脈瘤
大動脈の壁が裂けたり(解離)、瘤ができたりすると、突然の激しい背部痛が生じます。「引き裂かれるような」「締め付けられるような」痛みが特徴で、生命を脅かす緊急性の高い状態です。
心筋梗塞
心筋梗塞の痛みは時に背中に放散し、胸痛とともに背中の痛みを感じることがあります。冷や汗、吐き気、息切れなどを伴うことが多いです。
筋骨格系の問題
筋肉痛・筋膜性疼痛
姿勢の悪さ、長時間のデスクワーク、重い物の持ち上げなどによる筋肉の緊張や疲労が原因となります。背中の広い範囲に鈍痛として現れることが多いです。
脊椎の問題
脊椎の変形や椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などが背中の痛みを引き起こすことがあります。これらは神経を圧迫することで、背中だけでなく手足のしびれなども伴うことがあります。
その他の原因
帯状疱疹
背中の皮膚に沿って痛みや発疹が出現する疾患です。発疹が出現する前から痛みが始まり、片側性に分布するのが特徴です。
背中の痛みの症状
痛みの性質と部位
背中の痛みの現れ方は原因となる疾患によって異なります。
- 鈍痛:筋肉の疲労や軽度の炎症による持続的な痛み
- 鋭痛:神経の圧迫や炎症による強い痛み
- 放散痛:内臓からの痛みが背中に広がるもの
- 締め付け感:大動脈疾患などで見られる締め付けられるような痛み など
随伴症状
背中の痛みに伴って現れる症状には以下のようなものがあります。
- 腹部の痛みや不快感
- 吐き気、嘔吐
- 発熱
- 排尿時の痛みや血尿
- 呼吸困難や動悸
- 手足のしびれや麻痺
- 皮膚の発疹や水疱(帯状疱疹の場合) など
重大な病気の可能性がある症状
以下の症状が背中の痛みとともに現れる場合は、重篤な疾患の可能性があるため、速やかに医療機関を受診してください。
- 突然の激しい背部痛(特に引き裂かれるような痛み)
- 胸痛や呼吸困難を伴う背部痛
- 38℃以上の発熱を伴う背部痛
- 急な足の脱力やしびれ
- 排尿や排便のコントロールができなくなる
- 冷や汗、顔面蒼白、意識障害などを伴う など
背中の痛みの検査
胃内視鏡検査(胃カメラ検査)
背中の痛みが消化器疾患に関連している可能性がある場合、胃カメラ検査が有効です。この検査では内視鏡を用いて食道、胃、十二指腸の内部を直接観察し、潰瘍や炎症、腫瘍などの病変を診断できます。
当院では内視鏡専門医が丁寧に検査を行い、患者様の不安や苦痛を軽減するため、必要に応じて鎮静剤を使用することも可能です。
血液検査・尿検査
炎症反応(白血球数、CRP)、膵酵素、肝胆道系酵素などを調べることで、内臓の炎症や機能障害を評価します。尿検査では腎臓や尿路の問題を調べることができます。
腹部超音波検査(エコー)
超音波を使って肝臓、胆嚢、膵臓、腎臓などの状態を観察する検査です。胆石や腎結石、膵炎などの診断に有効です。
CT検査・MRI検査
より詳細な画像診断が必要な場合に行います。内臓の状態や脊椎の問題、腫瘍の有無などを詳しく評価できます。
※提携先医療機関と連携して実施します
心電図
背中の痛みが心臓に由来する可能性がある場合に、心筋梗塞や狭心症などの心疾患を調べるために行います。
背中の痛みの治療
原因疾患に対する治療
消化器疾患の治療
胃炎や胃潰瘍の場合は、胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬を使用します。ピロリ菌感染がある場合は除菌治療も行います。胆石症では、状況に応じて胆石溶解薬や手術が必要になることもあります。
筋骨格系の問題に対する治療
消炎鎮痛薬や筋弛緩薬、物理療法(温熱療法、電気療法など)を組み合わせて痛みを緩和します。
※当院で行っていない治療は、提携先医療機関と連携して実施します
重篤な疾患への対応
大動脈解離や腹部大動脈瘤、進行した膵臓がんなど、緊急性や専門性の高い疾患については、適切な専門機関と連携して治療を行います。
生活習慣の改善
背中の痛みの原因が筋骨格系の問題である場合、以下のような生活習慣の改善が効果的です。正しい姿勢を心がけ、長時間同じ姿勢を続けないよう定期的に姿勢を変えましょう。適度なストレッチや運動を取り入れて筋肉をほぐし、ストレスを軽減することも大切です。また、睡眠環境の見直しも効果的で、体に合った硬さの寝具を選び、十分な休息をとることが痛みの軽減につながります。
受診のタイミング
早期受診を推奨
- 背中の痛みが2週間以上続く
- 徐々に痛みが強くなっている
- 市販薬を使用しても症状の改善が見られない
- 日常生活に支障を来す痛み
- 背中の痛みに加えて、腹部の不快感や消化器症状がある など
速やかな受診が必要
- 突然の激しい背部痛
- 胸痛や呼吸困難を伴う背部痛
- 高熱を伴う背部痛
- 排尿や排便のコントロールができなくなった
- 足の脱力やしびれを伴う背部痛 など