胃もたれとは?

胃もたれは、食後に胃の不快感や圧迫感が続く症状です。食べ物が胃に留まり、なかなか消化されないような感覚を指します。医学的には「上腹部膨満感」とも呼ばれ、消化器症状の中でも非常に一般的な症状の1つです。多くの方が経験することがありますが、継続的に症状が続く場合は何らかの消化器疾患が隠れている可能性があります。
箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでは、胃もたれをはじめとする消化器症状にお悩みの患者様に対して、内視鏡検査(胃カメラ検査)による正確な診断と適切な治療を提供しています。食後の不快感でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
胃もたれの原因
機能性ディスペプシア
検査では異常が見つからないにもかかわらず、胃もたれや上腹部痛などの症状が続く状態です。胃の運動機能の低下や、胃の知覚過敏が原因と考えられています。ストレスや生活習慣の乱れが関連していることも多いです。
食習慣の問題
早食い・過食
短時間で大量の食事を摂ると、胃に急激な負担がかかり、胃もたれの原因となります。よく噛まずに飲み込む習慣も消化不良を招きます。
脂っこい食事
高脂肪の食事は胃の中に長く留まり、消化に時間がかかるため胃もたれを起こしやすくなります。
食事と就寝のタイミング
食後すぐに横になると、胃酸の逆流や消化不良が起こりやすくなります。食後2~3時間は横にならないことが推奨されています。
胃粘膜の炎症性疾患
胃炎
胃の粘膜に炎症が生じる状態です。ピロリ菌感染、NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)の服用、過度の飲酒などが原因となります。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍
胃や十二指腸の粘膜に潰瘍ができる疾患です。胃もたれに加えて、みぞおちの痛みや胸焼けなどを伴うことがあります。
胆嚢・膵臓の疾患
胆石症や膵炎などの胆嚢・膵臓の病気でも、食後の胃もたれが生じることがあります。特に脂っこい食事の後に症状が強くなる傾向があります。
薬剤の影響
NSAIDs(アスピリン、ロキソニンなど)、抗生物質、鉄剤などの薬剤が胃粘膜を刺激して胃もたれを起こすことがあります。
ストレス・不安
精神的なストレスや不安は自律神経のバランスを崩し、胃の運動機能を低下させることがあります。その結果、胃もたれなどの症状が現れやすくなります。
胃もたれの症状
典型的な症状
- 食後の上腹部膨満感(お腹が張る感じ)
- もたれ感(食べ物が胃に残っている感覚)
- 早期満腹感(少量の食事でお腹がいっぱいになる)
- 胸焼け
- ゲップの増加
- 吐き気 など
重大な病気の可能性がある症状
以下の症状が胃もたれとともに現れる場合は、より重篤な疾患の可能性があるため、すぐに医療機関を受診してください。
- 体重の急激な減少
- 嘔吐(特に血液や暗褐色の物質を含む場合)
- 黒色便や血便
- 強い腹痛
- 飲み込みにくさ
- 貧血症状(めまい、動悸、倦怠感など)
- 夜間の症状悪化 など
胃もたれの検査
胃内視鏡検査(胃カメラ検査)
口や鼻から細い内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察する検査です。胃炎、胃潰瘍、胃がんなど、胃もたれの原因となる様々な疾患を発見することができます。
当院では経験豊富な内視鏡専門医が正確に検査を行い、患者様の不安や苦痛を軽減するために鎮静剤を使用した「楽な検査」も選択していただけます。また、必要に応じて組織検査(生検)も同時に行い、より正確な診断に努めています。
ピロリ菌検査
胃炎や胃潰瘍の主な原因となるピロリ菌の感染の有無を調べます。内視鏡検査時の組織採取、尿素呼気試験、血液検査、便検査などで検査できます。当院では胃カメラ検査と同時に組織採取によるピロリ菌検査を行うことで、一度の検査で確実な診断が可能です。
ピロリ菌は胃がんのリスク因子としても重要で、感染が確認された場合は保険適用での除菌治療を行います。除菌成功率は90%以上と高く、治療後は胃もたれなどの症状改善につながることも多いです。
血液検査
炎症反応、肝機能、膵機能などを調べ、胃もたれの原因となる疾患の手がかりを得ます。
腹部超音波検査(エコー)
胃や胆嚢、膵臓などの状態を観察し、胃もたれの原因となる疾患がないかを調べます。
胃排出シンチグラフィー
胃の運動機能を評価する検査です。特殊な物質を含む食事を摂取し、その胃からの排出速度を測定します。機能性ディスペプシアの診断に役立ちます。
胃もたれの治療
生活習慣の改善
食習慣の改善
- 少量ずつ、ゆっくりよく噛んで食べる
- 食事と就寝の間隔を3時間以上あける
- 脂っこい食事や刺激物を控える
- 規則正しい時間に食事を摂る など
ストレス管理
- 適度な運動
- 十分な睡眠
- リラクゼーション法の習得
- 趣味や楽しみの時間を持つ など
禁煙・節酒
喫煙は胃の血流を悪化させ、アルコールは胃粘膜を直接刺激するため、どちらも胃もたれを悪化させる要因となります。
薬物療法
症状や原因に応じて、以下のような薬剤を使用します。
消化管運動改善薬
胃の運動機能を高め、胃の内容物を十二指腸へスムーズに送り出す働きがあります。
制酸薬
胃酸を中和する薬です。胃酸による粘膜への刺激を抑えます。
胃酸分泌抑制薬
胃酸の分泌を抑制し、胃粘膜を保護するために、プロトンポンプ阻害薬(PPI)、H2受容体拮抗薬などを処方します。
ピロリ菌の除菌治療
ピロリ菌陽性の場合は、抗生物質と胃酸分泌抑制薬を組み合わせた除菌治療を行います。除菌に成功すると胃もたれなどの症状が改善することも多いです。
原因疾患の治療
胃潰瘍や胆石症など、特定の疾患が胃もたれの原因となっている場合は、その疾患に対する治療を行います。
受診のタイミング
早期受診を推奨
- 食後の胃もたれが2週間以上続く
- 市販薬を使用しても症状の改善が見られない
- 食事量が減少している
- 体重が減少している など
速やかな受診が必要
- 激しい腹痛
- 嘔吐や吐血
- 黒色の便が出る
- 胸痛を伴う場合 など