進⾏⼤腸がん

進⾏⼤腸がん

進行大腸がんについて

進行大腸がんについて

進行した大腸がんは治療が難しいケースもありますが、適切な治療によって良好な結果が得られることも少なくありません。症状があるなしにかかわらず、定期的な検査を受けることが重要です。
箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでは、大腸がんの早期発見から治療後のケアまで一貫してサポートします。がんが疑われる症状がある時は、どうぞお気軽にご相談ください。

大腸がんの進行度分類

TNM分類について

がんの深達度

がんの大きさと深達度を示す指標で、アルファベットの大文字「T」、数字、アルファベットの小文字の3つで示されます。大腸の壁は内側から、粘膜層、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜という層構造になっていて、がんの到達範囲が深いほど数字とアルファベットが進んでいきます。

  • Tis:粘膜内にとどまるがん(上皮内がん)
  • T1:がんが粘膜下層まで浸潤している
  • T2:がんが筋層まで達している
  • T3:がんが筋層を超えて漿膜下層まで達している
  • T4:がんが漿膜を突き破っている、または隣接する臓器に直接浸潤している

リンパ節転移の程度

リンパ節転移の程度を示す指標で、アルファベットの大文字「N」と数字で示されます。リンパ節に転移したがんは、その流れによって全身に転移を起こす可能性があるので、リンパ節転移の程度(個数や位置)は予後に大きく影響します。

  • N0:リンパ節転移なし
  • N1:1~3個のリンパ節に転移あり
  • N2:4個以上のリンパ節に転移あり

臓器への遠隔転移の有無

進行したがんは周囲への転移を引き起こします。転移の有無はアルファベットの大文字「M」と数字で示されます。大腸がんの遠隔転移で多いのは肝臓、次いで肺です。

  • M0:遠隔転移なし
  • M1:遠隔転移あり(肝臓、肺、腹膜など)

ステージ分類と特徴

ステージ0

粘膜内に留まっているがんで、いわゆる早期がんです。この段階であれば内視鏡治療で完治が期待できます。

ステージI

粘膜下層までがんが浸潤している状態です。リンパ節や臓器への転移はありません。この段階でも内視鏡治療、あるいは外科手術で完治が期待できます。

ステージII

筋層を超えた浸潤がありますが、リンパ節転移はありません。一般的にはこのステージⅡ以降が進行がんに該当します。手術が基本ですが、再発リスクが高い場合は術後補助化学療法も検討します。

ステージⅢ

がんの深さに関わらず、リンパ節転移が見られる状態です。臓器への転移を起こすリスクが高いため、手術に加えて術後補助化学療法が必要になることが多いです。

ステージⅣ

がんの深さやリンパ節転移に関わらず、多臓器への遠隔転移がある状態です。がんの影響が広範囲に及んでいる可能性が高いため、化学療法(抗がん剤治療)が中心となります。

早期がん・ポリープとの違い比較

項目 大腸ポリープ 早期大腸がん 進行大腸がん
浸潤深度 粘膜内 粘膜~粘膜下層浅部 筋層以深
転移リスク ほぼない ごくわずか 20~60%
治療法 内視鏡切除 内視鏡/手術 手術+化学療法
症状 無症状が多い 無症状が多い 腹痛・血便・便通異常
発見契機 検診・健診 検診・健診 症状による受診

進行大腸がんでは症状が現れやすく、治療も複雑になりますが、適切な治療により良好な結果が得られる可能性もあります。

進行大腸がんの症状

早期大腸がんでは無症状であることが多いのに対し、進行大腸がんでは様々な消化器症状が現れます。そのため、大腸ポリープや早期大腸がんは、内視鏡検査で偶然見つかることが多いですが、進行大腸がんでは症状から受診して発覚するケースが多いです。

下血・血便、持続する貧血

腫瘍からの持続的な出血により、便に血が混じる(血便)ことがあります。特に暗赤色の血便は直腸や左側結腸のがんで多く見られます。また、少量でも長期間出血が続くと、貧血(めまい、倦怠感、動悸など)を引き起こすことがあります。

便が細くなる、出にくい

特に直腸やS状結腸のがんでは、腸管が狭くなることで便が細くなる(鉛筆のように細い便)、排便困難や残便感を感じることがあります。

腹部にしこりを感じる

特に右側結腸(盲腸や上行結腸)のがんでは、腹部を押した時に腫瘤(しこり)を触れることがあります。

原因不明の体重減少

がん細胞は通常の細胞以上に大量にエネルギーを消費します。このため、がんの進行に伴って異常な体重減少が起こります。
なお、医学的な体重減少は、半年から1年以内に4.5kg、あるいは体重の5%以上の減少が該当します。

緊急症状

以下の症状がある場合は、緊急性が高いため、すぐに当院を受診してください。

腸閉塞

肥大化したがんによって腸管が完全に塞がれることで、激しい腹痛、嘔吐、便やガスが出なくなるなどの症状が現れます。

穿孔性腹膜炎

まれにがんが腸壁を貫通して穴があき(穿孔)、腹膜炎を引き起こすことがあります。突然の激しい腹痛、腹部全体の硬直(板状硬)、高熱などが現れます。

進行がんの検査と診断

大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)

カメラ付きの細いスコープを肛門から挿入して大腸の粘膜を直接観察します。大腸がん診断のゴールドスタンダードで、腫瘍の位置、大きさ、形状、腸管の狭窄の程度を調べつつ、組織採取(生検)によって確定診断が行えます。

画像検査(CT検査、MRI検査)

CT検査やMRI検査などの画像検査により、がんの深達度(壁への浸潤の程度)やリンパ節転移の有無、肝臓・肺などへの遠隔転移の有無を調べられます。

腫瘍マーカー検査

血液中の腫瘍マーカー(がん細胞が作り出すたんぱく質)を測定します。大腸がんの確定診断にはなりませんが、診断の補助や治療効果の判定、再発のモニタリングなどを目的に行います。

PET-CT検査

PET-CT検査は、ブドウ糖類似物質(FDG)を静脈注射した後にCT撮影を行う検査です。がん細胞が糖を多く取り込む性質を利用したもので、がんの位置を明らかにできます。転移巣の検索や他の検査で判断が難しい場合の検査として行います。

※当院で行っていない検査が必要な場合は、提携先医療機関と連携して実施します。

進行大腸がんの治療

ステージⅡ(がんの深達が進むがリンパ節転移なし)

目的:病気の根治と再発予防

基本的には手術による原発巣の切除が中心となります。そのままでは切除が難しい場合も、放射線療法や化学療法(抗がん剤治療)でがんを小さくすることで、手術が可能になることがあります。

ステージⅢ(リンパ節転移あり、遠隔転移なし)

目的:病気の根治と再発予防

手術による原発巣とリンパ節の切除を行います。術後に化学療法を行うことで再発を予防します。

ステージIV(遠隔転移あり)

目的:病気の根治、あるいは生存期間の延長とQOL(生活の質)の向上・維持

状況に応じて原発巣の手術、転移巣の切除、放射線療法、化学療法を組み合わせます。治療による根治が難しい場合は、「病気を治す治療」から「症状緩和や延命を目的とした治療」へと切り替え、残りの人生を穏やかに過ごしていただくためのケア(緩和ケア)を行います。

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