十二指腸腺腫とは?

十二指腸腺腫は、小腸の最初の部分である十二指腸の粘膜に発生する良性の腫瘍で、腺細胞(※)が異常に増殖することによって形成されます。十二指腸腺腫の多くは無症状であり、健康診断や他の疾患の精査のために行われた内視鏡検査(胃カメラ)で偶然発見されることがほとんどです。小さな腺腫であれば経過観察となることもありますが、大きさや形状によってはがん化のリスクを考慮し、早期の治療が必要になる場合もあります。
十二指腸腺腫は自覚症状に乏しく、病変部の変化もごくわずかなので発見しづらいのが特徴です。箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでは、専門医による丁寧な内視鏡検査と診断を行っており、見落とされやすい病気も逃さずに発見いたします。お腹の不調やがんへの不安がある方は、お気軽にご相談ください。
(※)粘膜を構成する上皮細胞の一種
十二指腸の病気の特徴
十二指腸は胃につながる小腸の最初の部分で、胆汁や膵液など消化液が流入する重要な臓器です。こうした環境から、十二指腸では胃と同様の疾患(潰瘍や腫瘍など)が発生しやすいという特徴があります。
しかし、病気の発症に伴う自覚症状に乏しいことも多く、気づかないうちに病状が進行していることが少なくありません。胃カメラ検査の普及によって十二指腸疾患の発見機会は増えていますが、十二指腸は胃カメラ時の見落としが多い部位でもあり、検査を行う医師の技術が問われます。
十二指腸腺腫の症状
十二指腸腺腫があっても多くの場合で無症状であるため、健康診断や他の疾患の検査で偶然発見されることがほとんどです。しかし、腺腫が大きくなると以下のような症状が現れることもあります。
- 上腹部の不快感や膨満感
- 腹痛(特に食後に悪化する)
- 吐き気や嘔吐(腫瘍が大きくなり食物の通過を妨げる)
- 食欲不振、体重減少(長期間にわたる症状の場合) など
十二指腸腺腫の原因
十二指腸腺腫の明確な原因はまだ十分に解明されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。
加齢
十二指腸腺腫に限らず、消化管の腫瘍は年齢を重ねるにつれて発生リスクが高まります。
遺伝的要因
一部の十二指腸腺腫は遺伝する可能性が示唆されています。
消化管の慢性的な炎症
十二指腸の内壁の炎症が長引くと、細胞のDNA損傷や異常増殖を引き起こし、腺腫の発生リスクを高めます。十二指腸潰瘍などの炎症性疾患が関係している可能性があります。
生活習慣要因
喫煙、過度の飲酒、高脂肪食の摂取などの生活習慣も、十二指腸腺腫の発生に関与している可能性があります。
十二指腸の他の病気
十二指腸潰瘍やクローン病などの十二指腸疾患も、十二指腸腺腫のリスクを高める可能性があります。
十二指腸腺腫の検査と診断
胃内視鏡検査(胃カメラ検査)
口や鼻から細い内視鏡を挿入し、十二指腸の内部を直接観察します。腺腫は通常、滑らかな表面を持つ隆起性病変として観察されますが、大きさや形状は様々です。
組織検査(生検)
内視鏡検査時に病変部から組織を採取(生検)し、顕微鏡で詳しく調べます。これにより腺腫の確定診断や、悪性化の有無を判断します。
超音波内視鏡検査(EUS)
腺腫の深さ(粘膜内にとどまっているか、粘膜下層以深に及んでいるか)や、周囲のリンパ節腫大の有無などを詳細に観察できます。特に大きな腺腫や、悪性化が疑われる場合に有用です。
CT検査、MRI検査
大きな腺腫や悪性化が疑われる場合には、CT検査やMRI検査などによる画像検査を行い、腺腫の大きさや周囲への広がり、リンパ節転移の有無などを評価します。
※当院で行っていない検査が必要な場合は、提携先医療機関と連携して実施します
十二指腸腺腫の治療
十二指腸腺腫の治療方針は、腺腫の大きさ、形状、組織型、発生部位、患者様の年齢や全身状態などを考慮して決定します。必ずしも積極的な治療が必要とは限りませんので、検査で十二指腸腺腫を指摘されても、過度に心配する必要はありません。
経過観察
腺腫が小さく、形や大きさに変化がないものは経過観察を行います。ただし、がん化する可能性はゼロではありませんので、定期的に胃カメラを行って変化の有無を調べます。なお、経過観察中に腺腫の大きさや形状に変化が見られた場合は、後述の方法での治療も検討します。
内視鏡治療
経過観察中に増大傾向を示す腺腫や、発見時点である程度の大きさがある腺腫の場合は、内視鏡を用いて病変部の切除を試みます。切除した腺腫は生検に回し、がん化のリスクについて調べることで、今後の治療方針の決定に役立てます。
手術
生検で悪性所見が確認された場合や内視鏡治療自体が技術的に困難な腺腫に対しては、手術を検討します。可能な限り消化管の機能に影響がない術式が選択冷ますが、腺腫の大きさや発生位置によっては周辺臓器(胃、膵臓、胆管など)の一部も同時に切除することもあります。
※提携先医療機関と連携して実施します
日常生活での注意点
生活習慣の見直し
十二指腸腺腫と診断されて経過観察となった方は、日常生活で以下のような点に注意しましょう。これらは十二指腸腺腫のがん化を直接予防するものではありませんが、健康的な生活習慣を心がけることは、消化器疾患全般の予防につながります。
- 規則正しい食生活と生活習慣
- バランスの良い食事
- 適度な運動
- 禁煙
- 節酒
- 適正体重の維持 など
定期的な内視鏡検査
十二指腸腺腫は自覚症状に乏しいため、症状からの早期発見は困難です。特に消化管がんの発症リスクが上昇する40歳以降の方は、症状の有無に関わらず定期的に胃カメラ検査を受けるようにしましょう。