大腸について

大腸は小腸から続く約1.5~2mの長さを持つ消化管で、盲腸、結腸、直腸、肛門から構成されています。主な役割は、小腸から送られてきた液状の内容物から水分やミネラルを吸収し、固形の便を形成して排泄することです。また、大腸には100種類以上の腸内細菌が存在し、これらの細菌が消化や免疫機能の維持に重要な働きを担っています。
大腸の構造
盲腸・虫垂
小腸の末端である回腸からの内容物を受け取る部分です。虫垂は盲腸から突出した袋状の組織で、消化における特に大きな役割はありませんが、免疫機能に関わっているとされています。
結腸
上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸の4つの部分からなり、水分とナトリウムの吸収、便の形成と輸送を行います。結腸の働きにより液体だった内容物が徐々に固形化されていきます。
直腸
結腸から送られてきた便を一時的にため、便意を感じると排泄を促します。約15~20cmの長さがあり、便の最終的な形成と排泄のタイミングを調整する働きがあります。
肛門
便を体外へ排出する出口です。内肛門括約筋と外肛門括約筋という2種類の筋肉によって制御されており、便の保持と排出をコントロールしています。
よくある大腸の病気
大腸がん
大腸の内壁に生じた悪性腫瘍です。初期は無症状のことが多いですが、進行すると血便・便通異常・腹痛・体重減少などが出現します。発症リスクの上昇する40歳以降は、定期的な検診が推奨されます。
大腸ポリープ
大腸の粘膜から内腔に向かって隆起した良性の腫瘍です。様々な種類があり、その多くは良性ですが、一部はがん化するリスクがあります。無症状のことが多いですが、良性でも大きなポリープは出血や便通異常を引き起こすこともあります。
大腸腺腫
大腸ポリープの多くを占めるタイプです。基本的には良性ですが、一部(大きなもの)はがん化のリスクが高く、前がん病変として扱われます。大きさや形、組織型によって経過観察か内視鏡的切除かを判断します。
大腸脂肪腫
粘膜下層にできる良性腫瘍で、脂肪組織からなります。比較的まれな病気で、小さいものは無症状ですが、大きくなると腹痛や便通異常を起こすことがあります。
直腸カルチノイド(直腸NET)
直腸にできる悪性腫瘍の一種で、緩やかに成長します。多くは無症状ですが、大きさなどの状態に応じて治療(切除)を行います。
大腸メラノーシス(偽メラノーシス)
下剤の長期使用によって大腸粘膜が黒褐色に変色する状態です。メラノーシス自体に症状はなく、がんとの直接的な関連もありませんが、原因となる下剤の見直しと便秘の治療が必要です。
大腸憩室症
大腸壁の一部が袋状に突出した状態です。無症状のことが多いですが、炎症(憩室炎)を起こしたり、出血を起こしたりすることがあります。
潰瘍性大腸炎
大腸の粘膜に慢性的な炎症が生じる病気で、炎症性腸疾患の1つです。下痢、血便、腹痛などが主な症状で、難病に指定されていますが、適切な治療で症状をコントロール可能です。
クローン病
患口から肛門までの消化管全体に炎症が起こる慢性疾患で、炎症性腸疾の代表的なものの1つです。潰瘍性大腸炎に似た症状が出現し、症状が長期化すると体重減少が見られることもあります。
虚血性腸炎
血流障害によって大腸に炎症や潰瘍が生じる病気です。突然の腹痛と下血が特徴で、高齢者に多く見られます。基本的には一過性の病気ですが、重症例では緊急手術が必要になることもあります。
感染性腸炎
細菌やウイルス感染によって起こる急性の腸炎です。下痢、腹痛、発熱などの症状が急に現れます。多くは一過性ですが、重症化することもあります。
こんな症状に注意
これらの症状が2週間以上続く場合や、急激な変化があれば、早めに受診してください。箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックでは、患者様のお悩みをしっかりと伺い、適切な検査と治療をご提案します。
大腸の病気の検査
便潜血検査
便の中に肉眼では見えない微量の血液が含まれているかを調べる検査です。大腸がんやポリープの早期発見に有用なスクリーニング検査として広く用いられています。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ検査)
内視鏡を用いて大腸全体を直接観察する検査です。ポリープやがん、炎症の診断だけでなく、組織生検やポリープ切除などの治療も同時に行えるという大きな利点があります。
CTコロノグラフィ
CTを用いて大腸の内部を立体的に再構成する画像診断法です。ポリープやがんの評価に役立ち、内視鏡検査が困難な患者様にも有用です。
注腸X線検査
バリウムを大腸に注入してレントゲン撮影を行う検査です。大腸の形状や狭窄、腫瘍の評価に用いられます。
カプセル内視鏡
小型のカプセル型カメラを飲み込み、消化管内部を撮影する非侵襲的な検査です。内視鏡検査が困難な患者様向けの選択肢となります。
血液検査(腫瘍マーカー)
血液の成分を分析し、貧血や炎症の有無などを調べます。病気の確定診断まではできませんが、他の検査の補助的に活用します。
※当院で行っていない検査が必要な場合は、提携先医療機関と連携して実施します。