⼗⼆指腸潰瘍

⼗⼆指腸潰瘍

十二指腸潰瘍とは?

十二指腸潰瘍とは?

潰瘍(かいよう)は、皮膚や粘膜の表面が炎症によって傷つき、深くえぐれている状態です。これが十二指腸の内壁で生じたものが十二指腸潰瘍です。十二指腸は胃から送られてきた食べ物と、胆嚢からの胆汁、膵臓からの膵液を混ぜ合わせる重要な消化器官です。様々な消化液にさらされる上、胃壁より筋膜が薄いため潰瘍ができやすいという特徴があります。

「みぞおちの痛みが続く」「空腹時に痛みがある」「夜中に痛みで目が覚める」などの症状でお悩みの方は、箕面市・箕面萱野駅のながい内科循環器内科クリニックへお気軽にご相談ください。

十二指腸潰瘍の原因

十二指腸を含む消化管の内壁には、自ら分泌する消化液から自身を守る防御機能が備わっています。何らかの理由で消化液による攻撃と、粘膜による防御のバランスが崩れることで炎症や潰瘍を起こします。十二指腸潰瘍でこのバランスの崩れが起こる原因としては、以下が挙げられます。

ピロリ菌感染

ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は胃の粘膜に棲む細菌です。ピロリ菌が産生する毒素や炎症性物質は、胃の粘膜にダメージを与えて胃炎(慢性胃炎)や胃潰瘍を引き起こしますが、この影響が胃と連続する十二指腸にも及ぶことで十二指腸潰瘍を引き起こします。

薬剤の副作用

アスピリン、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を長期間使用すると、胃や十二指腸の粘膜を保護するプロスタグランジンという物質の産生が抑制され、潰瘍が生じやすくなります。リウマチや関節痛などで長期的に服用している方は特に注意が必要です。

過剰な胃酸分泌

何らかの原因で胃酸の分泌が過剰になると、十二指腸粘膜が傷つきやすくなります。胃酸は通常、十二指腸に入ると中和されますが、量が多すぎたり中和機能が低下していたりすると、粘膜に障害を与えることがあります。過剰な胃酸分泌の主な原因としては以下が挙げられます。

ストレスと生活習慣

精神的ストレスや睡眠不足も十二指腸潰瘍のリスク要因となります。ストレスは胃酸分泌を増加させ、また自律神経のバランスを崩すことで消化管の防御機能を低下させます。不規則な食生活や過労も影響します。

喫煙、過度なアルコール摂取

喫煙は十二指腸の血流を悪化させ、粘膜の再生能力を低下させます。また、過度のアルコール摂取も胃酸分泌を促進し、粘膜への直接的な刺激となります。

遺伝的要因

家族に十二指腸潰瘍の方がいる場合、発症リスクが高まることが知られています。これは遺伝的な体質や、家族内でのピロリ菌感染の共有などが関係していると考えられています。

十二指腸潰瘍の症状

みぞおちの痛み

みぞおち(上腹部中央)の痛みは、十二指腸潰瘍の特徴的な症状の1つです。この痛みには以下のような特徴があります。

  • 空腹時(食間や夜間)に痛みが強くなる
  • 食事をすると痛みが和らぐことが多い
  • 痛みの性質は鈍い、灼熱感がある、締め付けられるなど

胸焼け、呑酸

胃酸が食道に逆流することによる胸焼け(胸の灼熱感)や、酸っぱい液体が口まで上がってくる感覚(呑酸)を伴うことがあります。

腹部膨満感

お腹が張った感じや、ガスがたまったような感じが続きます。

吐き気

特に起床時に吐き気を感じることがあります。

重症例での症状

吐血、黒色便

潰瘍から出血が起こると、排便されるまでに消化液で分解されてコールタールのような真っ黒な便(黒色便)として排泄されます。また、大量出血の場合は吐血が見られることもあります。

貧血症状

潰瘍からの慢性的な出血により貧血になることがあります。

体重減少

食事によって起こる上述の症状を避けるために食事量が減り、その結果として体重が減少することがあります。

無症状のケース

一部の十二指腸潰瘍患者様では、明らかな症状がなく、健康診断や他の疾患の検査中に偶然発見されることもあります。また、高齢者や非ステロイド性抗炎症薬を服用している方では、痛みなどの警告症状が現れにくい傾向があります。

十二指腸潰瘍の検査と診断

胃内視鏡検査(胃カメラ検査)

口または鼻から細い内視鏡を挿入し、十二指腸の内部を直接観察します。潰瘍の大きさ、深さ、場所、周囲の粘膜の状態などを詳細に確認できます。

組織検査(生検)

内視鏡検査時に組織を採取(生検)して、ピロリ菌の感染や悪性所見(まれに潰瘍が胃がんであることもあります)の有無を調べることもできます。

ピロリ菌検査

十二指腸潰瘍の主な原因であるピロリ菌の感染を調べる検査です。内視鏡検査で調べられますが、状況に応じて血液検査や便検査などで調べることもあります。

血液検査

貧血(ヘモグロビン値の低下)や炎症反応(白血球数、CRPの上昇)の有無を調べます。また、肝機能や腎機能の検査も行い、薬物治療の安全性を確認します。

便潜血検査

便に血液が混じっているかを調べる検査です。潰瘍からの出血が少量の場合、黒色便などの明らかな症状がなくても、この検査で出血の存在が分かることがあります。

十二指腸潰瘍の治療

ピロリ菌の除菌治療

十二指腸潰瘍の多くはピロリ菌感染が原因であるため、ピロリ菌陽性の場合は除菌治療を優先します。

薬物療法

潰瘍の程度や症状に応じたお薬を使って治療します。以下のような薬剤を使用します。

  • プロトンポンプ阻害薬(PPI)、H2受容体拮抗薬(H2ブロッカー):胃酸の分泌を抑制する薬
  • 制酸剤:胃酸を中和する薬
  • 粘膜保護剤:胃や十二指腸の粘膜を保護し、修復を促進する薬 など

生活習慣の改善

胃潰瘍を悪化させる原因となる生活習慣を改めます。

  • 規則正しい食事時間
  • バランスの良い食事
  • 刺激物(辛い物、カフェイン、アルコールなど)を避ける
  • 禁煙
  • ストレス管理 など

薬剤の見直し

使用している薬剤が原因の胃潰瘍の場合は、医師と相談の上、代替薬への変更や胃粘膜保護薬の併用を検討します。

内視鏡的止血術

潰瘍からの出血がある場合、内視鏡を用いて止血処置を行います。

手術

潰瘍が深くなると十二指腸の内壁から出血を起こしたり、壁を貫通して穴が開いたり(穿孔:せんこう)を起こしたりします。軽度な出血であれば内視鏡による止血を行いますが、大量出血や穿孔が起きている場合には、手術が必要になることもあります。

※当院で行っていない治療は、提携先医療機関と連携して実施します

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