胃カメラ検査(上部内視鏡検査)は、40歳以上に推奨される検査です。
しかし、
「胃の調子が悪い原因を特定したい」
「将来の胃がんのリスクを減らしたい」
と、胃カメラを検討している高校生やその親御さまもいるでしょう。
高校生でも胃カメラを受けることは可能です。
ただし、胃カメラにはメリットやデメリットが存在します。
そこで、今回は以下の内容について解説します。
- 胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)とは?
- 胃カメラは高校生でも受けられる?
- 高校生が胃カメラを受けるメリットとデメリット
- 高校生の胃の痛みの原因となる病気
この記事を読むことで、高校生で受ける胃カメラについて把握し、胃の症状に関する悩みを解消できるようになります。
胃もたれや胃の痛みを感じている方や、将来の胃がんのリスクが気になる方は、ぜひ参考にしてください。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)とは?
胃カメラは、口や鼻からカメラ付きの管を入れておこなう検査です。
食道から胃、十二指腸までをくまなく観察します。
胃がんやポリープをはじめ、潰瘍や出血、ピロリ菌感染の所見などの発見に有用です。
胃カメラは高校生でも受けられる?
高校生でも胃カメラを受けることは可能です。
胃カメラ検査は、基本的に何歳でも受けられます。
高校生ならば、成人と同様の検査となります。
ただし、親御さまの承諾(サイン)と同伴が必要になる点にはご注意ください。
高校生が胃カメラを受けるメリット
高校生が胃カメラを受けるメリットは、次の2つです。
- 胃の症状の原因を特定できる
- 早期段階でピロリ菌除菌を受けられる
それぞれについて解説します。
胃の症状の原因を特定できる
胃カメラは、上部消化管の病変を見つける検査です。
定期的に受けることで、病気の早期発見や治療の早期開始が可能になります。
とくに、胃の症状が胃がんによるものならば、早く治療を開始しなければなりません。
対症療法ではなく、原因に合わせた根本的な治療を始めるためにも、胃カメラは有効な検査といえます。
早期段階でピロリ菌除菌を受けられる
血縁者に胃がんの診断を受けた方がいる場合、ご自身の胃がん発症リスクが気になるでしょう。
実際に、遺伝要因がピロリ菌感染による胃がんのリスクを高めるという報告もなされています。
胃がんのリスクを低減させるには、まずピロリ菌検査をしてピロリ菌の感染の有無を確認しましょう。
ピロリ菌の検査には、「尿素呼気試験」「血清ピロリ菌抗体価」「ABC検診」などがあります。
ピロリ菌に感染している場合は、続けて除菌治療をおこないます。
中学生や高校生など、若いうちにピロリ菌感染の有無を調べ、除菌療法をおこなうと、胃がんのリスクを格段に下げられます。
なお、ピロリ菌検査や除菌治療を保険適用で受けるには、検査・治療前半年以内に胃カメラ検査を受けていなければなりません。
また、胃カメラ検査でピロリ菌感染による慢性胃炎(萎縮性胃炎)の所見が確認されていることが、保険適用でピロリ菌検査や除菌治療を受ける条件です。
胃カメラ検査を受けなかった場合、ピロリ菌検査や除菌治療は全額自己負担となります。
ただし、ピロリ菌除菌をおこなったからといって、100%胃がんにならないわけではありません。
40歳以上になったら、定期的に胃カメラ検査で胃の状態を確認することをおすすめします。
また、胃カメラの画像で、ご自身の胃の中に黒褐色の糸状の物質が見えて驚かれる方もいるかもしれません。
この黒褐色の物質は「ヘマチン」といい、血液に含まれるヘモグロビンが胃酸で酸化されたもので、胃の中のpHが低いことを示しています。
ヘマチン付着はピロリ菌感染のない方に多い所見とされていますが、油断は禁物です。
高校生が胃カメラを受けるデメリット
高校生だけでなく、全年齢に共通するデメリットとして、胃カメラ挿入時の不快感があげられます。
「オエッ」となる咽頭反射や、空気の注入による腹部膨満感、さらにげっぷを我慢しなければならないことから、胃カメラを二度と受けたくないと思う方もいるようです。
胃カメラ自体は10~20分程度で終わりますが、咽頭反射やげっぷを繰り返すと検査時間が長引く恐れもあります。
さらに、苦しい胃カメラでは病変を見逃しやすくなるだけでなく、穿孔や出血などのリスクも高まります。
胃カメラに対する不安がある場合は、静脈麻酔(鎮静剤)下での検査も検討しましょう。
苦痛なく胃カメラを受けるためのポイントは、次の記事でも紹介しています。
関連記事:苦しくない胃カメラ検査を受けるコツ|楽に受ける方法とは?
高校生の胃の痛みの原因
高校生の胃の痛みの原因は、次の通りです。
- ストレス
- 逆流性食道炎
- 機能性ディスペプシア
- 胃炎
- 十二指腸炎
- 胃がん
それぞれについて説明します。
ストレス
学校生活や勉強、将来など、悩むことも多い高校生。
過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、胃の痛みや胃もたれ、食欲不振などを引き起こします。
ストレスにより胃酸の分泌量が増え、反対に胃粘液の分泌量が低下し、胃粘膜がダメージを受けるためです。
自律神経のバランスが乱れた状態が続くと、胃の炎症や潰瘍などを引き起こすケースも。
逆流性食道炎
胃から胃酸が逆流し、食道粘膜に炎症を起こす病気です。
胃の痛みだけでなく、胃もたれや胸やけ、呑酸、みぞおち・背中の痛みなどの症状を引き起こします。
胃カメラでの画像検査は診断に有用ですが、なかには胃カメラで食道粘膜に炎症が認められても、症状のない患者さまもいらっしゃいます。
逆流性食道炎は食道がんのリスクを高める可能性があるため、炎症が見られた場合は定期的に胃カメラを受け、経過観察をすることが大切です。
機能性ディスペプシア
胃カメラでは異常が認められない病気です。
病変はありませんが、胃の痛みや胃もたれなどの症状が続きます。
診断の際は、がんや炎症、ピロリ菌感染が原因でないことを確認するために、胃カメラや超音波検査、ピロリ菌検査などがおこなわれます。
胃炎
胃炎は「急性胃炎」「慢性胃炎(萎縮性胃炎)」の2つに大別されます。
急性胃炎は、主に食べ過ぎや飲み過ぎ、刺激物の摂取、ストレス、鎮痛剤の服用などによって起きる胃の炎症です。
一方、慢性胃炎のほとんどはピロリ菌感染によるものです。
慢性胃炎を放置すると、胃潰瘍や胃がんを引き起こすケースもあるため、早期の治療が求められます。
十二指腸炎
十二指腸炎では、胃だけでなく、みぞおちや背中にまで痛みが広がります。
急性胃炎と同じく、暴飲暴食や刺激物の摂取、ストレス、鎮痛剤の服用などが原因としてあげられます。
胃がん
大腸がん、肺がんに続き、罹患数・死亡数ともに高い胃がん。
女性よりも男性の方が罹患率・死亡率ともに高く、年齢別では50歳以上の罹患率が高くなっています。
その一方で、高校生や20~30代の若年層が発症しやすい「スキルス胃がん」という胃がんがあることをご存知でしょうか。
多くの胃がんは腫瘤や潰瘍を形成するため、胃カメラ検査で早期発見が可能です。
しかし、スキルス胃がんは胃の壁の中でじわじわと広がっていくため、胃粘膜表面のみの観察である胃カメラでは発見が難しいのです。
さらに、進行するスピードも速いため、発見したときにはすでに転移が起こっているケースも。
胃の症状が続く場合は定期的に血液検査や胃カメラを受け、胃がんの早期発見につなげましょう。
まとめ
胃カメラは高校生でも受けられます。
胃の症状がなかなか治らない場合や、胃がんのリスクが高い場合は、定期的に胃カメラを受けることをおすすめします。
本記事で高校生で胃カメラを受けるメリット・デメリットを知り、原因の早期発見・早期治療につなげましょう。