胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、胃がんやピロリ菌による胃炎などの診断に用いられる検査です。
しかし、胃カメラ検査に対して、
「受けた知人からとても辛いと聞いた」
「できれば二度と受けたくない」
と、ネガティブなイメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?
苦しくない胃カメラ検査を受けることは可能です。
ただし、楽に受けるためにはいくつかのコツがあります。
そこで、今回は以下の内容について解説します。
- ・胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)とは?
- ・胃カメラが苦しい原因
- ・胃カメラ検査の流れ
- ・苦しくない胃カメラ検査を受けるためのコツ
この記事を読むことで、楽に胃カメラを受けるためのポイントをおさえ、苦しまずに検査を受けられるようになります。
胃カメラ検査に苦手意識や不安のある方は、ぜひ参考にしてください。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)とは?
胃カメラとは、鼻や口から内視鏡を挿入し、食道から胃、十二指腸の内部を直接観察する検査です。
具体的には、次の病気の発見や診断に役立ちます。
- ・胃がん
- ・食道がん
- ・十二指腸がん
- ・胃潰瘍
- ・十二指腸潰瘍
- ・胃炎
- ・ピロリ菌感染(萎縮性胃炎)
- ・胃ポリープ
- ・アニサキス症
- ・逆流性食道炎
- ・機能性胃腸症(機能性ディスペプシア)
日本では、50歳以上の男女に対し、胃がん検診として2年に1回の胃カメラを勧めています。
胃カメラが苦しい原因
胃カメラが苦しい原因は、喉の咽頭反射にあります。
胃カメラをする前に喉の奥に麻酔をしますが、胃カメラが入っている間、「オエッ」となる咽頭反射が続くケースも少なくありません。
咽頭反射があると胃の動きが激しくなってしまい、見落としが発生しやすくなってしまいます。
何度も咽頭反射を繰り返すと、胃の粘膜が避けたり、出血したりする恐れも。
また、検査中には胃の襞と襞の間までしっかり観察するため、空気を注入します。
このときに腹部膨満感からげっぷをしたくなりますが、我慢しなければなりません。
げっぷをしてしまうと、再度胃を膨らませるために空気を注入しなければならないため、検査時間も長引いてしまいます。
このように、苦しい胃カメラ検査では安全性と検査の精度が低下します。
反対に、苦しくない胃カメラ検査では、安全に、そして丁寧かつ詳細な検査が行えるのです。
病気の早期発見のためにも、コツをおさえて苦しくない胃カメラ検査を受けましょう。
胃カメラ検査の流れ
苦しくない胃カメラ検査を受けるために、まずは胃カメラ検査の流れを把握しておきましょう。
胃カメラ検査当日の流れは、次の通りです。
- ・来院
- ・消泡剤の服用
- ・咽頭麻酔
- ・鎮静剤の投与 ※希望者のみ
- ・胃カメラ検査
- ・休憩
- ・検査結果の説明
混雑具合などにもよりますが、来院から検査結果の説明までの所要時間は、60~90分程度です。
通常、胃カメラ検査自体は5~10分程度で終わります。
検査後は10~30分程度、休憩室で安静にします。
苦しくない胃カメラ検査を受けるためのコツ
苦しくない胃カメラ検査を受けるためには、以下のタイミングでそれぞれのポイントをおさえましょう。
- ・病院選び
- ・検査前の準備
- ・検査中
- ・検査後の注意点
一つずつ解説します。
病院選び
胃カメラ検査を受ける病院やクリニックは、慎重に選びましょう。
医療機関を選ぶ際のポイントは、以下の通りです。
- ・経鼻内視鏡ができるか
- ・鎮静剤を使用できるか
- ・安心して受けられるか
胃カメラには、口から入れる経口内視鏡と、鼻から入れる経鼻内視鏡の2つのタイプがあります。
経鼻内視鏡は経口と比べて、咽頭反射が起こりづらく、楽に検査が受けられる点がメリットです。
ただし、もともと鼻腔内が狭い方や鼻血が出やすい方、花粉症・鼻ポリープ(鼻茸)がある方の場合は、経鼻内視鏡を選択できないケースがあります。
鼻からの胃カメラを受けたい場合は、あらかじめ医師に相談しておきましょう。
続いて、鎮静剤についてです。
鎮静剤を使用するとうとうとした状態で検査を受けられるため、苦痛を感じることはほぼありません。
検査中の記憶が残りづらいのもメリットです。
過去の胃カメラ検査で辛い思いをされた方や、胃カメラに対する不安が強い方にはとくにおすすめです。
ただし、妊娠中・授乳中の方や、呼吸器・心臓・腎臓系の持病をお持ちの方は、鎮静剤を使用できない場合があります。
最後に、胃カメラ検査を安心して受けられる環境かどうかについてもチェックしておきましょう。
しっかりと説明をしてくれる医師のいる医療機関ならば、不安なく胃カメラを受けられるでしょう。
検査前の準備
検査前日の夕食は、夜9時までに済ませましょう。
過度な飲酒や脂っこいものの摂取は控え、しっかりと睡眠をとりましょう。
夜9時以降は水やお茶、スポーツドリンクなど、透明な飲み物以外の飲食は避けてください。
常用薬の種類によっては、前日からの休薬が必要になる場合もあります。
普段から薬を服用している場合は、あらかじめ医師に相談しておきましょう。
検査時に鎮静剤を使用する場合は、車・自転車・バイクでの来院は控えましょう。
また、胃カメラ検査の流れを事前に把握しておくと、イメージがわきやすくなり、よりリラックスして検査に臨めるでしょう。
検査中
胃カメラが入っている部分に応じた以下のコツを理解しておきましょう。
- ・咽頭:首・肩・喉の力を抜いて、あごを前に突き出す
- ・食道:首・肩の力を抜いて、あごを引く
- ・十二指腸:おなかのつっぱり感やみぞおちのあたりが押される感じを我慢する
- ・胃:空気を注入後、できるだけげっぷを我慢する
鎮静剤を使用せずに胃カメラ検査を受ける場合は、姿勢に注意しましょう。
胃カメラ検査の姿勢は、体の左側を下にして横向きになった「左側臥位」です。
少し頭を上げて、喉の奥を広げて力を入れないようにすると、スムーズに胃カメラを飲み込めます。
カメラを入れた後は頭を下げると、げっぷの軽減や誤嚥のリスク低下につながります。
緊張すると体に力が入り、苦しくなってしまうため、検査中は呼吸に意識を向けましょう。
おすすめはおなかを膨らませるような深呼吸です。
また、目を閉じると喉の痛みに意識が向いてしまうため、遠くをぼーっと見るようにするとよいでしょう。
検査後の注意点
検査後は、1時間ほど経ってから食事をはじめましょう。
喉の麻酔が切れていない状態で食事をすると、誤嚥や窒息のリスクがあるためです。
胃カメラで組織の採取を行った場合は、辛い物や脂っこいもの、アルコールは控え、消化によいものを食べましょう。
鎮静剤を使用した場合、検査当日の車・自転車・バイクなどの運転は禁止です。
一人でのご帰宅に不安がある場合は、ご家族やご友人にご同伴いただくか、お迎えに来てもらうとよいでしょう。
まとめ
今回は「胃カメラ検査を楽に受けるための方法」について解説してきました。
苦しい胃カメラ検査では、安全性や検査の精度も低下してしまいます。
本記事で苦しくない胃カメラのコツをおさえ、不安なく胃カメラを受けて、胃がんの早期発見・早期治療に努めましょう。