胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)は、胃炎や胃がんなどの診断に有用な検査です。
しかし、とくに胃腸症状がない場合でも、
「知人に胃がんが見つかったから自分も検査しておきたい」
「検査費用はできる限り抑えたい」
と、胃カメラを保険適用で受けたいと考えている方も多いのではないでしょうか?
胃カメラを保険適用で受けることは可能です。
ただし、保険適用で受けるためにはいくつかの条件があります。
そこで、今回は以下の内容について解説します。
- ・胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)とは?
- ・胃カメラの保険適用の可否と費用相場
- ・胃カメラとほかの検査の違い
- ・胃カメラを受けるべきタイミング
- ・胃カメラの注意点
この記事を読むことで、胃カメラについての正しい知識を得て、適切なタイミングで必要な検査を受けられるようになります。
定期的に胃カメラを受けて、健康を保ちたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)とは?
胃カメラは口、または鼻から管を入れておこなう検査です。
のどに麻酔をしてから管を入れ、食道や胃、十二指腸の内部を観察します。
がんやポリープ、潰瘍、出血、炎症などの病変の早期発見に有効です。
胃カメラの保険適用の可否と費用相場
胃カメラの検査は、保険適用で受けられる場合と、受けられない場合があります。
それぞれの費用相場とあわせて、詳しく解説します。
胃カメラを保険適用で受けられる場合
胃カメラを保険適用で受けられるのは、下記のような症状がある場合です。
- ・吐き気
- ・呑酸(口への胃酸逆流)・げっぷ
- ・胸やけ
- ・喉や胸のつかえ感・違和感
- ・胃のむかつき・胃もたれ
- ・みぞおちや上腹部の痛み
- ・腹部の不快感
- ・体重減少
- ・貧血
また、学校・職場での健診や人間ドックで異常を指摘された場合、胃がんや胃潰瘍などをすでに指摘されていて定期的な検査が必要な場合、医師が必要だと判断した場合も保険適用で胃カメラを受けられます。
観察のみの胃カメラ検査では、3割負担で4,500円程度ですが、病理組織検査の有無や使用する薬剤によって、金額は変わります。
なお初診料や再診料、その他の検査費用は別途必要です。
胃カメラを保険適用で受けられない場合
とくに症状がなく、医師が検査の必要はないと判断した場合は、胃カメラは原則として保険適用外となります。
健康診断や人間ドックで胃カメラを希望する場合は、全額自己負担となるため、注意しましょう。
保険適用外で経口の胃カメラ検査を受ける場合の費用の目安は、10,000~12,000円です。鎮静剤を使用する場合は、15,000~20,000円です。
検査中にピロリ菌検査をした場合や、組織の採取を行った場合は、さらに費用がかかります。
胃カメラとほかの検査の違い
胃カメラとほかの消化器の検査の違いについて、解説します。
バリウム検査
バリウム検査とは、バリウム造影剤と発泡剤を飲んでX線を照射し、上部消化管の全体を観察する検査です。
進行の早いスキルス胃がんの発見に有用です。
胃カメラよりも負担が少ないと思われがちなバリウム検査ですが、小さな病変を見つけづらいというデメリットがあります。
また、バリウム検査で異常が見つかった場合、基本的に確定診断のため、胃カメラでの組織採取(生検)が行われます。
胃カメラでは、胃がんの原因となるピロリ菌の感染検査を同時に行えるというメリットも。
そのため、胃がんを疑う症状のあるケースでは、はじめから胃カメラを受けた方が良いといわれることもあります。
ピロリ菌検査
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ菌)は、胃炎や胃潰瘍、そして胃がんを引き起こす細菌です。
ピロリ菌の感染の有無は、血液検査で確認できます。
胃がんのリスクを減らすためにピロリ菌検査や除菌治療をしたいと考える方も多いとは思いますが、先に胃カメラをした方がよいとされています。
胃カメラの前にピロリ菌の除菌治療を行うと、胃粘膜の炎症が治まって正常な状態に見え、胃がんの早期病変を見逃しやすくなってしまうためです。
また、胃カメラを先に受け、ピロリ菌感染による萎縮性胃炎が確認された場合、ピロリ菌検査と除菌治療を保険適用で受けられます。
大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)
大腸カメラとは、肛門から内視鏡を挿入し、直腸・大腸から小腸の一部までを観察する検査です。
胃カメラとの違いは、内視鏡を入れる部分と観察できる部分です。
下記のような症状がある場合は、大腸カメラをおすすめします。
- ・排便時の出血
- ・便秘・下痢
- ・急激な体重減少
- ・貧血
- ・便潜血反応が陽性
また、ご家族に大腸がんになった方がいる方や、40歳以上で大腸カメラを一度も受けたことのない方も、大腸カメラを受けた方がよいとされています。
胃カメラを受けるべきタイミング
胃カメラを受けた方がよいのは、次のような症状がある場合です。
- ・吐き気
- ・呑酸(口への胃酸逆流)・げっぷ
- ・胸やけ
- ・喉や胸のつかえ感・違和感
- ・胃のむかつき・胃もたれ
- ・みぞおちや上腹部の痛み
- ・腹部の不快感
- ・体重減少
- ・貧血
健診や人間ドックのバリウム検査で異常を指摘された場合や、ピロリ菌の感染が疑われる場合も、胃カメラを受けることをおすすめします。
上記のような症状・検査値異常がある場合、原則として胃カメラを保険適用で受けることが可能です。
また、食道がんや胃がんのリスクを高める喫煙・飲酒の習慣がある場合も、定期的に胃カメラを受けた方がよいといわれています。
過去に胃潰瘍や十二指腸潰瘍を指摘された方や、ご家族に胃がんになった方がいる方、40歳以上で胃カメラを受けたことがない方も、ぜひ胃カメラを受けましょう。
胃がん早期発見のための胃カメラ検査を受けるタイミングは、人によって異なります。
厚生労働省は、50歳以上の人に対し、2年に1回の胃カメラによるがん検診を推進しています。
ほとんどの市町村では、一部の自己負担でがん検診を受けることが可能です。
一般社団法人日本消化器内視鏡学会は、早期胃がんの内視鏡治療を受けた方に対しては、少なくとも1年に1回の胃カメラを勧めています。
症状がなくとも不安がある場合は、胃カメラを年に1回受けるとよいでしょう。
ただし、保険適用外になるケースもあるため、費用については注意が必要です。
胃カメラの注意点
最後に、胃カメラ検査の前後の過ごし方や、注意点について解説します。
胃カメラ検査前の過ごし方・注意点
胃カメラ検査前日は、21時ごろまでに夕食を済ませましょう。
夕食は食物繊維の多い食べ物や、脂っこい食べ物を避け、腹8分目程度に留めてください。
アルコールの過剰摂取は控え、検査に備えて早めに休みましょう。
胃カメラ検査当日は、水以外の飲食、喫煙は禁止です。
メイクは控え、アクセサリーや時計などの装飾品、眼鏡、入れ歯は外しておいてください。
服用している薬がある場合は、検査当日に飲んでも問題ないか、事前に医師に確認しておきましょう。
鎮静剤を使用する場合は、公共交通機関やタクシー、徒歩などで医療機関へ向かってください。
また、鎮静剤を使用する場合は、血中の酸素濃度をリアルタイムで計測する必要があるため、マニキュアは落としておきましょう。
胃カメラ検査後の過ごし方・注意点
検査後、約1時間は飲食を控えてください。
喉の麻酔が効いた状態で飲食をすると、誤嚥の危険があるためです。
胃カメラ検査中に組織を採取した場合は、当日の入浴や飲酒は避けましょう。
鎮静剤を使用した場合は、車・自転車・バイクなどの運転は禁止です。
帰りに不安がある場合は、付き添いの方を同伴されて来院すると安心です。
まとめ
今回は「胃カメラは保険適用で受けられるか」、また「胃カメラはいつ受けるべきなのか」について解説してきました。
胃カメラを保険適用で受けられるかどうかは、症状の有無や検査値の異常、医師の判断によって変わります。
しかし、胃がんに対する不安がある場合は、自己負担でも定期的な胃カメラ検査をおすすめします。
胃がんの早期発見・早期治療のためにも、本記事で胃カメラについての正しい知識を取り入れ、適切なタイミングで胃カメラを受けましょう。