「胃カメラは何年おきに受けるべき?」
「健康状態でも毎年胃カメラを受けた方がいいの?」
実は医師によっても推奨頻度が異なる胃カメラ検査。結局のところどれが適切なのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事ではケースごとに胃カメラの推奨頻度と受け始めるべきタイミングについて解説します。
胃カメラを受けるべき頻度は人によって異なる
胃カメラ検査をどれくらいの頻度で受けるべきかについては、専門医の間でも意見がわかれるのが現状です。「年に1回」という意見もあれば「5年に1回」という人もいます。ただし一つ言えるのは、胃の健康状態によって適切な頻度は異なるということです。胃がんのリスクはピロリ菌の有無が大きく関係しています。以下に目安の頻度をご紹介します。
ピロリ菌の感染歴がある場合:年に1回
ピロリ菌に感染していた場合、将来的に胃潰瘍や胃がんのリスクが高まるとされています。たとえピロリ菌の除菌治療が成功していたとしても、胃潰瘍や胃がんが発生する可能性がなくなるわけではありません。このため、慢性胃炎の状態を定期的に確認し、胃潰瘍や胃がんの発生を未然に防ぐために、年に1回の胃カメラ検査を受けることを推奨します。
異常なしの場合:2〜3年に1回
ピロリ菌の感染歴がなく、胃カメラで異常なしと診断された場合は、毎年受ける必要はありません。2〜3年に1回の頻度で問題ないとされています。
早期胃がんの治療を受けた方
早期胃がんの治療を終えた人も、別の場所で胃がんが発生する可能性があるため、年に1回程度の胃カメラが推奨されます。北里大学病院の統計によると、早期胃がんの治療を受けた患者において、1年以上後に別の場所で発生する異時性再発のリスクが約10%であることが示されています。これは早期胃がんの患者を対象にしたデータですが、結果として10人に1人の割合で、翌年以降に二次、三次のがんが発生する可能性があることを意味します。
胃がんの原因のほとんどがピロリ菌感染
胃がんの原因の多くはピロリ菌の感染です。胃がん患者の99%にピロリ菌感染が関係しているという報告もあります。このほか、飲酒、喫煙、ストレス、野菜や果物の不足、欧米型の食生活なども胃がんの原因とされていますが、最も一般的なのはピロリ菌感染による萎縮性胃炎と言われています。ピロリ菌がいない胃での胃がん発生も稀にあり、最近ではその報告が増えているため、注意が必要です。
ピロリ菌の除菌に成功したとしても、ピロリ菌感染によるリスクは十数年は続くため、定期的な胃カメラ検査が重要となります。
胃カメラは何歳から受けるべき?
40歳を超えたら、胃カメラを受けましょう。なぜなら、40代になると胃がんのリスクが急上昇するからです。胃がんは早期治療できれば完治できる確率が高いですが、初期は自覚症状がほとんどありません。そのため、症状が出て気付いたときにはすでに進行してしまっているというケースもよくあります。これまで特に胃に異常が見られず検査を受けて来なかった方も、40歳になったら一度胃カメラを受けてください。
胃カメラを定期に受ける方法
胃カメラを定期的に受けるには以下の方法があります。
定期健康診断
企業勤めの方は、労働安全衛生法に基づいて、毎年無料で定期健康診断を受けることができます。ただし、提供される健康診断は基本的な検査項目に限られ、個別の検査ニーズに応じたカスタマイズはできない点に注意が必要です。
人間ドック
その他に、人間ドックでも胃カメラを受けられます。健康診断が無料であるのに対し、人間ドックは自己負担であり、その費用は3万円から10万円以上になることがあります。保険の適用外であるため、費用は自己負担となり、実施施設によって金額が異なります。しかし、人間ドックのメリットは、より広範囲の検査項目が含まれており、検査内容を自分で選べることです。また、一部の企業では福利厚生の一環として、従業員の家族の人間ドック費用を補助することもありますので、この点については所属企業に確認するとよいでしょう。
自治体の胃がん検診
各自治体で実施しているがん検診を利用することもできます。一部の費用負担のみで受けることができるので、お住まいの市町村のホームページで確認してみましょう。なお、2016年以降胃がん検診の対象者は50歳以上の方となっています。
まとめ
胃カメラは何年おきに受けるべきかについて解説しました。胃カメラは健康な人でも定期的に受けることをおすすめします。特に40歳を過ぎたら一度受けて胃に問題がないか検査しましょう。当院でも胃カメラ検査(内視鏡検査)が可能です。どなたでもお気軽にご相談ください。