妊娠中は、使用できる薬が限定されることもあり、身体の不調や変化に対して通常よりも不安を感じやすい時期です。胃の不調に悩んでいる妊婦さんは、「赤ちゃんがお腹にいる状態でも胃カメラ検査は可能なのか」と疑問に思うことがあるかもしれません。
今回は妊娠中の胃カメラ検査について解説します。現在妊娠中の方や今後妊娠の可能性がある方はぜひご覧ください。
妊娠中に胃カメラ検査は受けられる?
妊娠中の胃カメラ検査は、リスクを避けるため基本的には控えることが望ましいです。
しかし、絶対にできないわけではありません。重大な疾患の疑いがある場合は、妊娠中でも検査が必要になることがあります。検査を行わないことによる母体と胎児への影響と、検査によって生じるリスクを比較し、総合的に判断します。まずは産婦人科の医師に検査が必要か相談しましょう。医師が検査の必要性を認めた場合、産婦人科が併設されている総合病院で胃カメラ検査を受けることになります。
妊娠中の胃カメラ検査のリスクを減らすために
もし妊娠中に胃カメラ検査が必要と判断された場合、リスクを減らすために以下の方法が推奨されます。
鎮静剤は使わない(経鼻内視鏡検査)
妊娠中の胃カメラ検査において、鎮静剤は胎児に影響が出る可能性があるため使用できません。
鼻から内視鏡を挿入する「経鼻内視鏡法」であれば、使用するのは表面麻酔のみのため、身体への負担を最小限に抑えながら検査を実施できます。
妊娠4〜16週は避ける
妊娠4週目から16週目は、胎児の器官が形成される重要な時期です。この時期に鎮静剤や麻酔を使用すると胎児に影響を及ぼし異常を引き起こすリスクが高まるため、避けるのがベターでしょう。
妊娠中の胃薬について
妊娠中、胃に痛みや違和感を感じて薬を飲むことがあるかと思います。基本的に胃薬は市販薬でも特に影響はないとされていますが、病院で胎児に影響のない薬を処方してもらうことをおすすめします。なお、サイトテックという胃酸の分泌を抑える薬は流産のリスクがあるため、避けてください。
また、「漢方であれば安心」と考えている方がいらっしゃいますが、漢方の中にも妊娠中の服用が望ましくない成分を含むものがあります。胃薬に関わらず、妊娠中の薬の服用は注意が必要なので、「漢方だから大丈夫」と自己判断で飲むことはせず、必ず医師に相談するようにしてください。
授乳中に胃カメラ検査を受ける際の注意点
授乳中の方は、胃カメラ検査を受けられます。しかし、鎮静剤などの薬物が乳児に影響を与える可能性があるため、検査後はしばらく授乳を避ける必要があります。授乳を中断すべき期間は使用する薬剤によって変わるため、内視鏡検査を受ける予定の医療機関に事前に相談しましょう。
まとめ
妊娠中の胃カメラ検査は基本的に行いませんが、緊急を要する場合は母体と胎児の安全を第一に考えてさまざまな角度から総合的に判断する必要があります。何か異常を感じたときは、自己判断で放置したり薬を服用するのではなく、専門医に相談しましょう。